youの手記

隙自語(隙の無い自分語り)

ポン丸のボンクから④

乗船の楽しみの一つが寄港地での上陸だ。丸2日ほど自由時間が与えられる。

過去に寄港地として室蘭、宮古、名古屋、伏木富山に入港してきた。どの港も初めて訪れたのでとても楽しめた。それぞれの地方の名物を食べたり、観光したりして英気を養った。

しかし今回の寄港地は東京である。晴海からバス一本で行ける場所は豊洲錦糸町、東京駅など。どれも見飽きた場所だ。また地方都市に入港してきて思ったことだが、東京は栄えた街があるだけなのだ。物資補給には困らないが、特別やることが無い。

僕は卒論のアドバイスを貰いに大学に帰った。晴海からバス2本で帰れる距離だ。乗船中という実感が全くなかった。同期も何人か大学に籠って卒論に取り組んでいたようである。

また昨今の流行り病の影響で外泊は禁止。家や寮に泊まることも許されない。点検の時間までにいちいち晴海まで戻らねばならず、思ったより自由時間は少ない。

 

それでも折角の上陸なのだから満喫しなければ勿体ない。まず上陸したらファストフードを食べに行くのがお決まりだ。船のご飯はとにかく美味しい。そしてとても健康的である。そのため実習生の大半はカントリーマアムやアルフォートなど普段食べないような菓子を買いため、空き時間に食べることで「健康的」と「ジャンキー」のバランスをとっている。それでも健康的な食事を続けていると、ファストフードが食べたくなる。そこでマックやバーガーキングに行くのだ。久しぶりに食べるハンバーガーは幸せの味がする。

 

また船では真水が貴重なので、風呂では浴槽に海水をはり蒸気で加熱して入る(シャワーは真水)。時間がかかるのでシャワーで済ませる人が大半だ。そこで上陸中に温泉に行く人もいる。僕も室蘭では登別温泉に、富山では氷見温泉に行った。今回は同期と大江戸温泉物語に足を運んだ。コロナの都民割で入場料が半額だったがそれでも1300円余り。入湯料にしては少し高いがテーマパークのようなものなので仕方ない。客はカップルが大半だった。一人で行かなくてよかった。

コンテナふ頭のすぐ傍にあるので露天風呂や足湯に入ろうものならガントリークレーンのアラームが聞こえてくる。雰囲気が台無しである。というかガントリークレーンから覗けそうだったな。

 

上陸を終えると岸壁と快適な電波にしばし別れを告げ浦安沖に仮泊した。

それにしても東京湾奥の海水は汚い。少し前に仮泊した伊東の海面は深い青に染まっていたのだが、東京湾奧は緑に近い。お台場海浜公園にビーチがあったような気がするが、あの海水にはあまり触らないほうがいいだろう。

 

東京湾を足早に去り、再び伊東を経由して本州最南端の地、串本までやってきた。実習も終わりが近い。そろそろこのボンクともお別れである。