youの手記

隙自語(隙の無い自分語り)

ポン丸のボンクから②

実習開始から1週間が経とうとしている。だんだん「調教」の成果が表れてきて、清掃や早起きにも抵抗が無くなってきた。

 

東京を発ち、尾鷲までやってきた。海岸線が複雑に入り組んでいる。山肌は海岸線まで迫り、街の明かりは湾奧のわずかな平地に見えるのみ。見渡す限り山地である。いかにもリアス式海岸といった風景だ。残念ながら紅葉には少し早かった。

湾奥には解体中の火力発電所が見える。火力発電所が稼働していた時はこの狭い湾に全長300m超の原油タンカーが入ってきていたらしい。にわかには信じがたかった。

 

陸は目と鼻の先だが上陸はできない。着岸すると金がかかるため錨泊する。逆に走り続けると燃料を食うため錨泊が多くなるのだ。最近になって排ガスの規制が厳しくなり、端的にいうと値段の高い燃料しか使えなくなってしまった。

船での実習が2年ぶりということもあり、勘がほとんど失われていた。それなりに揺れたが、久しぶりの揺れで 少し酔ってしまった。念のためアネロンを一錠キメた。

弊学の学生の間では酔い止めとして代々アネロンが推奨されている。実際前日ゲロゲロだった奴が翌日アネロンをキメてピンピンしていたこともあった。

そのためか実習生の間では酔い止めと言わずとも「アネロン」で通じてしまう。皆も酔い止めにはアネロンを使おう。海洋大生のお墨付きだ。

 

錨泊中、士官との交流のため班別懇談会というものを行った。お菓子や紅茶を出してもらって士官と仲良くなれるイベントだが、事件が起きた。

紅茶に入れる砂糖を用意してもらったが、砂糖ではなく塩だった。被害者多数。幸い僕はストレートで飲んでいたため被害を免れた。丁度レモンも用意されていたため塩レモンが作れそうだがチューハイは無い。船内は禁酒である。

会自体は終始和やかな雰囲気で進んだ。

僕が趣味にアニメ鑑賞と書いて「宇宙よりも遠い場所」をアマプラで観てますと言ったところ、その士官がよりもい*1のTシャツを着ていた。士官との距離が一気に縮まった瞬間である。その士官はその後別のアニメの話題で他の実習生と1時間近く語り合っていた。大学の少し上の先輩で内輪話も通じるし、勉強にも親身になってくれるし、いい士官と巡り合ったと思う。

 

...とここまでの内容を錨泊中に投稿しようと思ったのだが、

電波が!!安定して繋がらないのである!!

まじかよ〇天UN-LIMIT(ローミングなのでa〇回線)。陸地は目と鼻の先(1,2マイル先)に見えているのに...。

繋がる時もあるのだがアンテナが一本も立たない時間のほうが長い。振れ回りで陸地との距離が僅かに変化しているためだろう。

なのでこの記事が投稿されている頃には元居た仮泊地を離れて次の仮泊地にいるか、偶然電波を掴んだか、どちらかのはずだ。

やはり回線はd〇c〇m〇に尽きる。a〇回線、お前は駄目だ。