youの手記

隙自語(隙の無い自分語り)

ポン丸のボンクから

日記というほどではないが、実習中のあれやこれやをつらつら書いていこうと思う。

 

タイトルから何を言っているのかわからない人が大半だと思うので説明すると、「ポン丸」は帆船日本丸の実習生の間での呼び名である。「ボンク」は実習生に与えられるベッドのスペースのことで、唯一のパーソナルスペースである。カーテン一枚隔てた向こう側は居室の通路だ。

僕は今、ポン丸のボンクでこの記事を書いている。

 

ボンクの広さは、縦190cmくらい、幅は横になって少し腕を広げたくらいだ。シングルベッド未満。狭い。高さも上体を90度起こすことが出来ないくらいだ。しかしこれが秘密基地感があって妙に良い。

 

海に出ると電波が拾えない。実習は基本沿岸航海なので拾えることもあるのだが、鋼鉄でできた船の中には電波は届かない。居室で電波を拾うためにはスカッツル*1の傍でスマホを構えるしかない。

この電波を求めてスカッツルに群がる実習生たちの姿が江戸時代の浮世絵にも描かれているのは有名な話だ。

また比較的陸地に近い所で錨泊していると電波が拾えるのだが、振れ周りによって居室が海側を向くと電波が入らなくなったりする。練習船あるあるだ。

しかし今年革命が起きた。隣の部屋の実習生の一人がスカッツルにSoftbank airを張り付けたのだ。彼は「居室にwifiを設置するのが夢だった」と語ったそうだ。

でもそれは隣の部屋の話。わが居室では電波を求めてスカッツルに群がる実習生の姿が見られる。かくいう自分もその一人だ。この記事はスカッツルから拾った電波で公開されていることだろう。(甲板に出れば電波拾えるのだが。)

 

実習は朝6時半の体操から始まる。一週間前まで夜更かしして昼までぐっすり寝ていた自分にとって辛い日々が続く。昼間の講義も眠い。

しかしこれは慣れの問題だ。少しすれば「調教」されていることだろう。

今年は例の流行り病の影響で予定がぐっちゃぐちゃだ。船内では常時マスクの装着を求められ、息苦しい事この上ない。しかし同期がいるおかげで精神的には苦しくない。

狭い船内でソーシャルディスタンスもあったもんじゃないが、ウイルスを持ち込まないことに重点を置き、感染拡大を食い止めながら実習を進めようと対策がなされている。

ちなみに着岸する晴海ふ頭は都心から物理的にディスタンスがある。余計なお世話である。

 

実船での実習は2年ぶり。ロープに触ったのも1,2年ぶり。ほとんど何も覚えていないが、勘を取り戻すためにもしっかり取り組みたいところだ。

消灯時間が過ぎているので寝ることとする。

*1:船によくある小さい丸窓。勝手に開けると怒られる。