youの手記

隙自語(隙の無い自分語り)

電脳コイルの話

最近Prime Videoで電脳コイルを見返している。

地上波放送は2007年だから初めて観たのは小学生の頃らしい。当時は終盤のシリアス展開がトラウマになっていた。今でも鳥肌立つけど(主にこのBGM↓のせい)。

www.youtube.com

 

なぜ見返すほどハマったのかを改めて考えてみた。

まず世界観。この作品の舞台は大黒市という一般的な日本の地方都市。そこに電脳メガネという架空の要素を加えただけのシンプルなものだ。

さらに電脳メガネというキーアイテムにも妙にリアリティがある。ARは最近研究されている分野だが、実用化に至るのはあと少し先の未来だろう。それも相まってこの作品の世界観を受け入れやすくなっているのかもしれない。とにかく突拍子のない世界観で飲み込みやすい。

 

次に物語の進行だが、序盤~中盤は主人公たちの日常を描いていたのが終盤になるにつれて自然とシリアスSFに変化している。これは26話という2クール分の時間を使ったからできることであろう。

2007年のアニメがどうだったかは覚えていないが、今のアニメは12話で1シーズンと区切るのが一般的で、1クール放送して好評だったら「2期製作決定!」と打ち出すのが多いように感じる。一部のアニメは2クールぶっ通しで放送することもある。

そのため1クールアニメは12話の尺で世界観を説明し、人物を掘り下げて、一度物語の山場を作らなければならない。2クール目も同じ流れだ。

その点電脳コイルのような、初めから2クール分を使って放送するアニメは終盤に向けて大きい山場を作ればよく、世界観の説明や人物の掘り下げにも尺を割ける。

商業目的でないNHKだからできる芸当とも言えるが、これが上手く効いているのだと思う。

時間のない現代人に冗長と言われればそうかもしれないが、子供の頃の僕は暇だった。時間を持て余していた僕の辞書に「冗長」という言葉は無く、話が面白ければそれでよかった。

確かに忙しいと26話も観る時間が無い。僕もストーリーと設定は知ってるから重要なところだけかいつまんで観てる。とはいえ日常系アニメからシリアスSFへの変化が見事な作品なので一度全編通して観るのが良い。

 

また設定上「それってどうなの?」と思うところがある。

主人公のヤサコ、電脳メガネをハックする同級生たち、そして大黒市を引っ掻き回すキーパーソンのイサコ、全員小学6年生なのだ。今になってプログラミングを義務教育に盛り込む議論がされてるけど、電脳メガネを使いこなし、高速タイピングをし、ハッキングする小学生はやはり想像しづらい。

せめて中学3年生でもいいんじゃねとしばしば思うけど、そうするとイサコがただのブラコン中学生になってしまうので精神的に幼い小学生が適してるのかな...。

まあ物語で年齢は重要な要素じゃないので気にしなくていいかも。

 

余りある尺を使って上手く物語がまとめられた、SFアニメ史上でもかなりの完成度のアニメなことは確かで、僕みたいなハマる人にはとことんハマるアニメだな、と。

リアタイできたのは本当に運が良かったと思う。